2009年12月22日 (火)

JICA研究所

2009年12月21日の日経新聞の「経済教室」に来年度も削減が見込まれるODAに関する記事が出ていました。

昨秋始動した新生国際協力機構(JICA)の下で「JICA研究所」が新設され、事業改善の支援と対外発信の強化に向けて様々な研究が開始された。(中略)RCTなど先端的政策手法を用いてJICA事業のインパクトを厳密に計測し事業改善と対外発信につなげようとする先進的な研究などが進められている。こうした試みは、ODA事業との密接な連動によって政策の質改善に研究成果を直接つなげようとするものであり、JICA内部の研究機関でなければなしえない。

日本の開発援助に関する研究の推進が、日本のODA事業の科学的評価や戦略立案、そして効率向上につながると思っています。しかし、この研究をJICA内部の研究機関である「JICA研究所」に任せるのは間違いだと思います。日本の大学の研究者は関連業界や官公庁や研究資金の出資者などに気を遣って、何もモノが言えなくなっていると感じています。特に、御用学者の巣窟である東大の先生の発言は、一見知的に見えるのですが、あまり中身のない、そして誰も傷つかないきれいごとが多いです。大学の研究者ですら研究の独立性を保てていないというのに、「JICA研究所」に科学的データに基づく公正な研究ができるというのは甚だ疑問だと思っています。日本の開発援助やODAに関する研究の推進は本当に必要なことだと思うのですが、公平性の確保できる第三者の研究者や研究機関にゆだねるべきです。しかし、これですら実はとても難しいことです。JICAから研究費をもらって、JICAの事業を批判する研究結果が出せるわけがないからです。「いわんやJICA研究所をや」です。この日経新聞の記事はとても格調高くアカデミックに書かれているものの、事業仕分けの対象になったJICA研究所への著者(一橋大と東大の先生)の肩入れが強く感じられます。

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2009年12月17日 (木)

ODAがまた削減

今日の日経新聞に「ODA6~7%減 政府が検討 ピークの5割」という記事が出ていました。

「今年度のODA予算額は一般会計ベースで6722億円。年内に決定する予定の10年度予算案では6300億円前後になる見通し。政府が事業仕分けで「見直し」と判定した国際協力機構(JICA)の調査研究費や学校・病院建設などの「箱モノ無償」援助などが主な削減対象となる。」

国際社会における日本の落ちぶれの度合いを端的に示しているのがODA予算です。といっても、日本にはお金がないので、これを増やすのはもう無理です。日本は援助額でアメリカに次ぐ2位である必要もないし、中国やインドなど高成長を続ける大国が日本のような落ちぶれた先進国に代わって援助資金を増額すればいいだけのことです。今必要なことは、JICAという国の援助機関が組織や職員のためにじゃぶじゃぶ使っている税金を見直すことだと思います。JICAの職員が飛行機に乗るときはビジネスクラスではなくエコノミークラスに乗るようにして、これだけで発展途上国の貧しい人たちがどれだけ救えるのかという意識をもつべきです。国家公務員より3割高いJICAの給与体系の見直しも必要です。

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2009年12月 6日 (日)

ボーナスのお話

発展途上国のおともだちはみんな日本人がどのくらい給料をもらっているのか興味津々です。昔は教えてあげるとすごくうらやましがられたのですが、今ではたったそれだけというようなリアクションしかありません。ただ、日本の給与システムにはボーナスというものがあり、月給だけでは測ることができません。そこでボーナスについて教えてあげると、「何それ?」という感じで驚かれます。欧米にもボーナスはありますが、会社の業績がよかったときに利益を社員に分配するためのもので業績が悪いとゼロになります。それもだいたい幹部社員しかもらえないのだそうです。日本のように給与の一部として全従業員が手にするものという位置付けとはだいぶん違っていて、発展途上国では一般的なものではありません。日本でも景気が悪くてボーナスの額が激減していますが、公務員にはまだなんとか支給されています。公務員のボーナスに対しても世間の風当たりは強くなっていますが、バブル時代に華やかな民間企業の人たちを指をくわえて眺めているしかなかった公務員にはそのくらいはもらう資格があると思ってます。

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2009年12月 2日 (水)

BOPビジネス

2009年12月1日の日経新聞に「動き出すBOPビジネス」という記事が出ていました。

日本企業が途上国の低所得者層向けビジネスに注目し始めた。年間3千ドル(約26万円)未満で暮らすこの層は「BOP(ボトム・オブ・ピラミッド)」と呼ばれ、世界人口(約68億3000万人)の約7割を占めるとされる。企業にとって利益率は低いが、将来所得水準が上がれば巨大市場になる可能性を秘める。雇用創出で貧困削減にも期待がかかり、公的機関による企業支援の輪も広がろうとしている。

「BOPビジネス」の「BOP」とは経済の底辺を指す「ボトム・オブ・ピラミッド」あるいは「ベース・オブ・ピラミッド」の略なのだそうです。バングラデシュのムハマド・ユヌスグラミン銀行総裁が先駆けだったと思うのですが、貧困層ビジネスで巨額の利益を挙げる企業が増えています。貧困層とはいえ人口が多く経済成長を遂げている発展途上国というのは、成長の止まった日本よりもむしろ魅力的な市場ではないかと思います。人件費が安いことをいかして現地生産すれば十分な利益をあげるのも不可能ではありません。バングラデシュではフランスの食品会社ダノンとグラミン銀行の合弁会社グラミン・ダノン・フーズがヨーグルト生産を行っています。サステナビリティ社の「ダノンとグラミン銀行が合弁貧困層に“栄養”と“雇用”を提供」という記事によれば、この事業は以下のようなものです。

この事業の主眼は、ビタミンやミネラルを強化したヨーグルトでバングラデシュの子供たちの栄養状態を改善することにある。80g入りの商品を比較的安価な約5タカ(約9円)で販売する。工場では地元の人々を雇うだけでなく、原料の生乳や糖蜜も地元の農家から仕入れ、販売と配達も地元の人々に委託する。酪農家や販売店には、マイクロ・クレジットで資金を融資し、技術指導も行う。収益を新工場の建設に再投資することで、拠点を増やしていく。

日本のように成長力の低下が見込まれる先進国から大きな経済援助を期待するのは今後ますます難しくなってくるでしょう。成長が鈍化する先進国政府からの経済援助の代替として、BOPビジネスを通じた民間による支援がますます重要になってくると思います。日本政府の発展途上国への支援も、人道・災害復旧などを目的とした無償資金協力以外は、返済を義務づけた円借款とBOPビジネスの二本立てでいいのではないかと思っています。

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2009年11月26日 (木)

JICA対仕分け人

昨今話題の事業仕分けにはいろいろな批判もあるようですが、税金の使途に関する痛みをともなう改革は日本の将来にとって必要なプロセスだと思っています。このほど事業仕分け人によって、国際協力機構(JICA)に大きな切り込みが入ったのはとてもよかったと思っています。発展途上国への支援を切り詰めることが正しいことかどうかはともかく、援助の実施機関であるJICAが発展途上国のためではなく自分たちのためにじゃぶじゃぶと税金を使っているのが目に余ると思っていたからです。事業仕分け人が職員らの海外渡航を原則エコノミークラスにするよう求めたのはよかったです。日本中あちこちにある研修所の統合を求めたというのもいいことです。独立行政法人の中でも最高レベルと言われる職員給与の引き下げを求めたのは当然です。青年海外協力隊に関して「『自分探し』の人をかき集めて、半ば失業対策になっている」などの批判が噴出したそうですが、どこからこんな事情通の仕分け人を連れてきたんでしょうね(笑)。ちょっと気になったのはハコモノ事業として無償資金協力の削減を求めたことです。発展途上国には病院や学校などハコモノも必要だと思っています。もちろん、仕分け人の主張する「ひも付きを見直し、競争入札を徹底し、現地企業を活用すればコストは下がる」というのはごもっともなことですので、さらなる税金の有効活用をしていただきたいです。

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2009年11月 9日 (月)

持つべきものは友

毎日jpに「タイ:元首相カンボジア入り 国境封鎖か」という記事が出ていました。

カンボジアのフン・セン首相は8日、政府経済顧問に任命したタクシン・タイ元首相が12日カンボジア入りし、プノンペンで講演する予定であることを明らかにした。元首相がカンボジア入りすれば、反タクシン派のタイのアピシット政権は猛反発し、国境封鎖など厳しい対抗策に出るのは確実だ。

どこにいるのかタイ国民にもわからないとされていたタクシン元首相がお隣のカンボジアに政府経済顧問として戻ってくるとのことで、タイの現政権にとっては許し難い状況になってきました。もともと領土問題で一触即発だった両国が新たな火種を抱えたことになります。それにしても、タイとは経済力で格差のあるカンボジアが、ここまで強気に出られることに驚いています。実はタクシン元首相はフン・セン首相のおともだちなんだそうで、持つべきものは友かもしれないと思ったのでした。

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2009年10月26日 (月)

日本は貧しいのか?

少し前になりますが、YOMIURI ONLINEに「日本の「貧困率」15.7%、OECD中4位」というニュースが出ていました。

OECDによる加盟30か国の「2000年代の相対的貧困率」調査では、日本は14.9%(04年調査)だったが、今回の日本政府の07年調査では、貧困の悪化が顕著になった。OECD調査で貧困率が高かったのは、メキシコ(18.4%)、トルコ(17.5%)、米国(17.1%)の順。逆に低いのはデンマーク(5.2%)、スウェーデン(5.3%)、チェコ(5.8%)だった。

日本人の所得は年々減っており、貧しさを日々実感しながら生きてますが、この数字はそれほど驚くようなものではないです。高福祉型社会のヨーロッパはものすごく税金が高く、その代わりに手厚い保護が受けられるようになっています。失業手当なども手厚いので、失業率10%くらい珍しくもありません。日本の相対的貧困率を減らそうと思えば、例えば消費税をヨーロッパ並みの20%くらいにして、低所得者層にお金をばらまく共産党さながらの政策を取らなければならなくなります。そのとき日本の社会はどうなるでしょうか?働かなくてもそれなりに生きていけるという甘い蜜に大勢の人々が群がり、正直に働く者が高い税金を払って馬鹿を見る社会が到来するのです。消費税の税率を見れば日本は明らかに米国型の社会なので、税率の高いヨーロッパと貧困率を比べるのはフェアではありません。米国の17.1%より低いのだから、妥当な位置にあると考えていいでしょう。

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2009年10月19日 (月)

外交官のお手当

YOMIRUI ONLINEに「外交官の手当節減へ検討チーム…外務省」という記事が出ていました。

在勤手当は外交官の衣食住の経費に充てるため、基本的な給与とは別に支給されている。「在勤基本手当」「配偶者手当」「住居手当」など7種類あり、在勤基本手当は駐米大使で月額77万円。配偶者手当は基本手当の2割、住居手当は任地の事情に応じて一定額が支給されている。

公務員の給料に対する世間の風当たりが強くなっていますが、問題があるのは外交官のような特別な人たちの手当であって、一般の公務員の給料はそんなに高くはない(むしろ安い)と思います。公務員試験のための辛気くさい受験勉強をして安定を選んだわけなのですから、その対価として世間並みの給料をもらったって罪はないはずです。今頃になって公務員をやっかむくらいなら、若いときにせっせと勉強して公務員になればよかったのでは...?と思います。

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2009年10月17日 (土)

タイの不安

YOMIURI ONLINEに「タイ国王入院長期化に不安、株安・バーツ安」という記事が出ていました。

国王は9月19日にバンコク市内の病院に入院し、病状は軽度で安定しているとされる。だが、13~14日に突然、容体を巡る風説が流れ、株式市場では社会不安が深刻化するとの懸念から、外国人投資家を中心に売りが殺到した。タイ証券取引所の主要株価指数は15日に前日比5.3%安と今年最大の下落率を記録し、通貨バーツの対ドル相場も安値を付けた。

タイの国王は高齢で、いつお亡くなりになっても不思議ではないのですが、後継者は決まっていません。タイは王室が国民から尊敬を集めいていますが、国民の尊敬を集めているのはプミポン国王だけで、そのドラ息子が王位を継いだらただでさえ政情が不安定なタイは大混乱になるかもしれません。タクシン元首相もこのチャンスを狙って行動を起こすと思います。

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2009年10月11日 (日)

トルコ・アルメニアが和解?

Yahoo!ニュースに「歴史的和解の合意に署名=発効まで予断許さず-トルコ・アルメニア」という記事が出ていました。

ロイター通信などによると、各国外相が会場入りした後も、当初は署名後に発表が予定されていた声明文をめぐって調整が難航。署名式の開始は予定より3時間以上遅れた。最終的にトルコ、アルメニア両外相は署名の後、握手を交わした。しかし、集まった記者団には一言も発せず式典は終了。冷え冷えした空気は両国関係の今後の道のりがなお険しいことを印象付けた。

トルコ人はアルメニアが大嫌いなので、両国の和解など永遠にありえないと思っていました。しかし、アルメニアとの和解はトルコがEUに参加するための踏み絵(の一つ)なので、いつかは踏まなければなりません。個人的には、アルメニアがトルコ・アゼルバイジャンと和解してくれたら、このあたりの旅行がしやすくなるので和解の動きは大歓迎ですが、本当に和解できるとは思ってないです。トルコという国は、ギリシア、グルジア、アルメニア、イラン、シリア、レバノンといった隣国すべてと仲が悪い(少なくともよくはない)という地理的にも歴史的にも政治的にもややこしい国なのです。

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