今から15年以上前に就職活動をしていたのですが、当時は会社訪問に行くと料亭とか寿司屋に連れて行ってもらえたのでいろんなところに行ってました。その中でいちばんがっかりしたのは、日本を代表する企業であった日立製作所とトヨタ自動車です。いわゆる大企業病にかかっているのが一目瞭然で、社員には覇気がないという印象を受けました。会社訪問では会社のいいところだけでなく悪いところも知りたいと思って積極的に会社の先輩に質問してみました。しかし、そのような質問をぶつけるやいなや、誰もが口ごもってしまったり話をそらそうとしたりするのです。会社の悪口を言うのがそんなに怖いことなのかとあきれてしまう一方で、これが日本社会の現実なのだと思い知らされました。そんなことをする人間は会社から冷や飯を食わされてしまうのです。こんな会社はいずれつぶれるだろうと思ってましたが、その後トヨタは世界でも有数の大企業に成長しました。日立は業績が低迷しているので明暗を分けたようです。今日の日経新聞の「インタビュー領空侵犯」に哲学者・梅原猛のインタビュー記事が出ていました。
「創造的な仕事をするには前例や慣習、常識にとらわれることなく、大胆な仮説を立て、それを検証する姿勢が大切です。保守的な先輩や上司の考えと対立すると、組織の中で孤独になり、冷や飯を食いかねませんが、それに耐える力を持たなくてはなりません。上司の顔でなく、真理の顔を見たほうがいい」「誰一人同じ顔をしていない個性的な人たちが集まって議論することで、新しいものが生まれるのではないでしょうか」「組織には品質管理をする弥生人も必要ですが、縄文人がいなくては新しい発想が生まれません。日本社会はもっと縄文人のような創造的な異端児を育て、生かすという視点を持つべきです」
さすがに異端の研究者だけあって、言っていることはおおむね「異端のススメ」といった内容です。日本の会社は、このような異端児を積極的に受け入れるくらいのことをしないとグローバル化した市場で生き残ることはできないと思っています。日本社会に異端児がいないのなら、海外から人材を集めるだけでなく、日本の会社が異端児を生み育てるような環境や機会を社員に提供するのもよいでしょう。同じく今日の日経新聞に「若手技術者 インド道場」という記事が出ていました。
システムエンジニア(SE)の不足が恒常化する中、IT(情報技術)企業にとってSEの質の向上が重要な課題になっている。東芝は五年前から若手SEをインドに送り込んでいる。IT教育先進国のインドで基礎技術を身につけ、外国人とのコミュニケーション能力も磨く。異郷に放り込まれた社員はたくましさを増して帰ってきた。
海外での異文化体験は人間のありとあらゆる面にプラスの効果を与えると思っています。特に、日本の常識が世界の常識ではないことを知って、創造的な考え方ができるようになることが大きいです。東芝のような若手SEをインドに派遣する試みはおもしろいですが、さらに一歩踏み込んで、「海外で1年間自由に放浪してきなさい」くらいの指示を社員に与える会社が現れることを期待しています。最後に、なぜ同じような大企業病を患っていたトヨタが勝者となり日立が敗者となったのかについて考えてみました。国内の自動車市場が飽和する中で、トヨタは海外市場に活路を求めていきました。その結果、多くの社員が海外に出たり世界と関わる機会を持ったりして、トヨタの社員も会社も強くなったからではないかと思っています。逆に、日立は当時から官公需に依存しており、その目線は日本の役所やそれに準ずる公益企業に向いていました。それゆえに社員は強くならなかったのではないかと思っています。これは単なる仮説に過ぎませんが、異文化体験によって人も会社も強くなるのは間違いないと思ってます。
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